伝統的なものといわれるものも、発祥の時があるわけで
その時は新しく斬新なものであったに違いないと思います。
それが、伝統として残ってきたのには、やはり意味があり、
人々が大事にするだけの価値があるからこそ、
現在にも受け継がれてきているのだと思います。
だからこそ、伝統として残っていくような新しく斬新な物を、その伝統の中から作り出していきたいと思っています。
o.e.における靴づくりは、天然皮革を使用し、機械化分業化はせずに、
靴の伝統的な製法であるハンドソ−ンウェルテッドと呼ばれる製法で行っております。
この製法は、大変理にかなっており、現在においても修正や、改善を加える必要は全くないと言っていい程、
革靴としては完璧な製法だと思っています。
一つ挙げるとしたら、手間暇がかかるといったところでしょうか。
靴には、様々な用途があり、それぞれに選んでいくことが重要だと思っています。
全てにおいて、ハンドの物がよいとは思いませんし、革靴でない方がいいことも、もちろんあると思っています。
手であったり、天然皮革ということにこだわっている最大の理由は
単純に好きということなのです。
ハンドメイドの利点や、蘊蓄はたくさんありますが、
そういうことよりも何よりも、自分自身がそういう昔ながらのハンドメイドのものに、たまらなく惹かれるのです。
作り手の創意工夫や、心意気、鍛練を重ねた技術がゆえにできる遊び心。
手作りのものには、やはりどこか、作り手の空気感を感じることができるような気がします。
天然皮革は、1頭の動物であったので、それぞれ一枚一枚違うもので、
また一枚の中でも部位によって特性も変わってきます。
手で作ることによって、そういった厚みや、特性の変化に敏感になり、柔軟に対応できると思います。
その特性を上手く活かしたり、また、使い続けていくと、
その人に馴染んでいき、代えがきかない唯一のものになっていきます。
そうやって、作り手と使い手が一緒になって、ものを完成させていく。
そういった物づくりが、自分にもできれはと、思っています。
見えないところにおいても、機能として重要な部分には手を抜いていない。
見た目が同じでも永く残っていくものと、使い捨てされるものには、ここが大きく違っていると思います。
皆様に、永年履いて頂き、本当の意味で靴として完成していくことができればと思っております。
同じサイズでも幅が違う、等足には様々な形状があります。
私どもでは、同サイズでも幅等が異なる木型を、数多くご用意させて頂いております。
その中から、より皆様の足の形状に近いものを選び、
その上で、お一人お一人の足、歩行等々に合わせた補正を行い、
靴の製作に取りかからせていただいております。
ご自分にあう1足を見つけていただければ、うれしく思います。
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